このシリーズでは、定番バックアップソフトウェアNetVault Backupで、
VMwareの仮想マシンなどをバックアップするところまでを、くわしく解説していきます。
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今回はバックアップを行う際のサーバの構成・配置について解説してみます。
NetVault Backup (以下NVBUと書きます) は、
単体構成・小規模~大規模構成まで自由な構成が可能です。
> 単体構成:サーバが1台だけの場合
・そのサーバにNVBUサーバをインストールします
・NVBUサーバにバックアップデバイスを接続します
> 小規模構成:バックアップ対象サーバが数台ある場合
・1台のサーバにNVBUサーバをインストールします
・NVBUサーバにバックアップデバイスを接続します
・他のサーバにNVBUクライアントをインストールします
> 大規模構成:バックアップ対象サーバが数+台以上の場合
・1台のサーバにNVBUサーバをインストールします
・他のサーバにNVBUクライアントをインストールします
・複数のバックアップデバイスを用意し、複数のNVBUスマートクライアントに接続します
・NVBUスマートクライアントが数十台のNVBUクライアントを分担してバックアップします
> 解説
NetVault Backup(NVBU)は以下の役割のマシンで構成します
●NVBUサーバ
NVBUサーバ・ソフトウェアがインストールされ
NVBUのクライアント管理・デバイス管理・ジョブ管理・スケジュール管理などすべての操作および管理を行います
これらの管理情報をNVBUデータベースに持ちます
▲NVBUクライアント (=エージェント)
NVBUクライアント・ソフトウェアがインストールされ
NVBUサーバから指示を受けてネットワーク経由でバックアップされます
■NVBUスマートクライアント (=メディアサーバ)
NVBUクライアント・ソフトウェアがインストールされます。
ローカルにバックアップデバイスを接続することができます。
NVBUサーバからの指示をうけて自分自身、または他のNVBUクライアントのバックアップを担当します
NVBUサーバ・スマートクライアント・クライアントを組み合わせることで大規模な構成にも柔軟に対応できます。
> 基本的な構成はNVBUサーバとNVBUクライアント
数台のバックアップ対象マシン(たとえばファイルサーバ、WEBサーバ、DBサーバ)がある小規模構成を考えてみます
> NVBUサーバは専用サーバ機を用意します。NVBUサーバにバックアップデバイスを接続します。
・負荷の低いファイルサーバなどを、NVBUサーバ兼用にすることもできますが、
テープ装置を接続するNVBUサーバは、専用サーバ機を用意することをお勧めします。
・バックアップデバイスは、
テープ装置、ディスクバックアップ用ストレージのどちらでも、または両方を接続することができます。
・テープ装置は、単体テープ装置ではなく、オートローダもしくはテープライブラリと呼ばれる集合テープ装置を検討します。
集合テープ装置は、複数のテープドライブ装置と複数のテープカートリッジを内蔵でき、テープの交換を自動化し、省力化することができます。
NVBUがサポートしているテープデバイスについては以下のサイトを参照してください
NetVault Backup対応オートチェンジャ・テープライブラリリスト
・ディスクバックアップ用ストレージは、
NVBUからは仮想テープライブラリ(VTL)として利用します。
接続は直接(SCSI,FC,iSCSI)でもネットワーク経由(CIFS,NFS)でもOSレベルで接続が保障されていれば使用可能です。
たとえば、PowerVault DR4000の場合、NVBUからはCIFSまたはNFSで接続して利用します。
>バックアップ対象マシンにはNVBUクライアントとプラグイン(オプション)
・バックアップ対象マシン(たとえばファイルサーバ、WEBサーバ、DBサーバ)にはNVBUクライアントをインストールします。
・DBサーバについては、対応するDB用プラグイン(オプション)を追加インストールします。
NetVaultは、プラグインと呼ばれる、豊富なDBアプリケーション用オプションを用意しています。
たとえば
DBサーバがOracleであれば、Oracle Plug-inが利用できます。
WEBサーバ(LAMP)がMySQLを使用していれば、MySQL Plug-inが利用できます。
(プラグイン・オプションについては次回取り上げます)
> 大規模構成の考慮点
バックアップ対象NVBUクライアントが多い場合、少なくとも
□ | バックアップ対象となるNVBUクライアント数 |
□ | すべてのNVBUクライアントの合計データサイズ |
□ | バックアップに許される時間 |
□ | バックアップを時間内に終わらせるためのバックアップデバイスの選択 |
□ | 管理するNVBUサーバ数およびNVBUスマートクライアント数 |
等々を検討する必要があります
(これ以外にもありますがここでは省略します。)
> 1台のNVBUサーバに対する妥当なNVBUクライアント数は
NVBUは冒頭でも書いた通り大規模構成でも使用できます。
国内のお客様の中には、1台のNVBUサーバで約200台以上のNVBUクライアントを管理している例もありますが
目安としては1台のNVBUサーバに対して100台以下のNVBUクライアントを配置するようにします。
たとえば、100台のNVBUクライアントがあり
バックアップが必要なデータが1台あたり100GBある場合、バックアップサイズは合計10TBになります。
これを一晩(深夜12時から朝8時までの8時間)でフルバックアップしなければならないとすると
1時間あたり約1280GBの書き込み速度性能(約364MB/s)のバックアップデバイスを用意する必要があります。
この場合、バックアップ先としてLTO-5テープドライブを4台用意すれば
LTO-5のスペック上、1時間あたり約1280GB以上の書き込みが可能になります。
> NVBUサーバ1台でパフォーマンスのボトルネックになるのを防ぐために
ただし、NVBUサーバにLTO-5を4台つなげてもネットワークの性能の上限のために
NVBUサーバへのネットワークがボトルネックになってしまい
期待する性能が出ない場合があります。
・このような構成では、バックアップデバイスへ書き込む作業をNVBUサーバに集中せず、
NVBUスマートクライアントを用意して作業を分担させます。
> NVBUスマートクライアントを配置してバックアップを分散
NVBUスマートクライアントを4台用意して、
それぞれにLTO-5ドライブを接続すると、
100台のNVBUクライアントのバックアップを4台のNVBUスマートクライアントに分散してバックアップ可能になります。
このようにNVBUではバックアップ対象にあわせた柔軟な構成が可能ですが、構成が大きくなれば考慮事項も増えてきて複雑になります。
ここでは省略しますが、バックアップだけでなくリストアに関してもSLAやRTO,RPOなど考慮する点があります。これらを考慮して最適なバックアップの構成を検討します。
バックアップ対象のマシンが多い構成で、バックアップに迷うようであれば、ご相談ください