通常SharePlexのアップグレードについて、古いバージョンをアンインストールせずにトランザクションが発生している状態で、一時的にレプリケーションが停止するだけで、アップグレードは遡ってREDOを読み取り同期状態にすることが可能です。しかし、SharePlex10.2からSharePlex12.0へのアップグレードをWindows環境で使用している場合には、使用している内部コンポーネントの大幅な変更に伴い、通常とは異なるアップグレード手順が必要です。
詳細については、SharePlex 12.0 Upgrade Guide内のTo upgrade SharePlex from 10.x to 12.0 on Windows for Oracle targetの項目にまとめられています。
もし、英語のマニュアルが読みずらいという場合には、[SharePlex] SharePlexの日本語マニュアルとGoogle NotebookLMを使用した英語マニュアルの活用法のブログコンテンツもご参考にしてください。
以下にて、一連のマニュアル記載の手順を日本語化したものを示します。
Oracleターゲット用のWindows環境でSharePlex 10.xから12.0へアップグレードするには:
-
WindowsにSharePlex管理者としてログオンします。
-
ターゲット側で、SP_OPO_UPDATE_SCN パラメータを1に設定し、Poster プロセスを再起動します。
-
ターゲット側で、ソース Oracle Data Source IDに対して show_scn を実行します。Poster プロセスは「stopped by user」の状態になります。
-
最後にポストされたSCNのSCN値を控えておきます(複数のターゲットがある場合は、最小のSCN値を選択します)。また、show_scn の出力から reconcile コマンドをコピーします。
-
ソース側で構成をdeactivateします。
-
ソースおよびターゲット側でSharePlexをシャットダウンします。
-
ソース側で ora_cleansp を実行し、ターゲット側のSharePlexがアップグレードされない場合でも、それぞれのクリーンアップユーティリティを実行します。
-
10.x インストール済み var ディレクトリから構成ファイルおよび関連ファイルをバックアップします。
-
sp_setup インストールプログラムを実行し、以下のプロンプトに従います。
-
SharePlex および PTC Nutcracker をアンインストールします。
-
インストールプロセスに従って、既存とは別の製品ディレクトリと可変データディレクトリにバージョン12.0をインストールします。インストールプロセスに関する詳細は、『SharePlex Installation and Setup Guide』を参照してください。
-
アップグレードもされたSharePlexに対して、適切なセットアップユーティリティを実行します。
-
spUtils を使用して、該当するデータベースのライセンスを追加し、SharePlexサービスをインストールして開始します。
-
sp_ctrl を実行し、ターゲット側で Poster プロセスを停止します。
-
ステップ4で控えたSCNを使用して、構成をactivateします。
-
ターゲット側で、sp_ctrl にて show_scn の出力から reconcile コマンドを実行します。
-
ターゲット側で Poster サービスを開始します。
-
レプリケーションが正しく機能していることを確認します。
全体的なポイントとしては、再度のレプリケーションに必要なconfigやparamdb等を退避しておき、すべてをアンインストールしたうえで、再インストールしてから構成ファイルを元に戻して、再度レプリケーション再開するというものです。その際、トランザクションが止められない場合の対応として、レプリケーションできていたポイントをSCNで確認し、再度インストール後の再開をSCNを指定したactivateとreconcileにより矛盾なく実施するというものです。
しかし、大幅にコンポーネントが変更される場合、WindowsOSの仕様としてDLLが変更される場合には、OSの再起動が必要であり、本アップグレードも再起動を伴います。そのため、必然的にOracle DBの再起動も必要であることから、定期的なメンテナンス時に実行することが求められます。そのため、トランザクションが完全に停止できる状態でSharePlexの再インストールが実施できる場合には、上記の手順の中のSCNを確認して、再開時にSCNを指定したactivateやreconcileの実行は割愛できます。
一連の対応手順についてご不明点がある場合は、各パートナー様やQuestの担当技術までご相談ください。