>> はじめに |
|
前回の講座で、OSとデータベース、そしてそれをバックアップするためのNetVaultに関する設定が一通り完了しました。今回は、さらにSQL Serverのオンライン・バックアップを可能にする、NetVaultのMS SQL APMオプションの導入について見ていきます。
>> 最初にMS SQL APMを導入してみよう |
|
一般にデータベース関連のオプションを導入するとなると、少し難しいというイメージがあるかもしれません。しかし、NetVaultの場合、独自のNetVaultのモジュール・アーキテクチャにより、驚くほど簡単にオプションの導入を行なうことができます。
オプションの導入方法はいくつかあるので、環境に合わせて選択します。
方法 A: クライアント管理を使用した方法
一番オーソドックスな方法です。なおかつ、複数のNetVaultクライアントをまとめて管理している場合、すべてのマシンにNetVaultサーバ側からリモートで導入することができ便利です。
まず、NetVaultのクライアント管理画面を開きます。MS SQL APMを導入したいマシンを選択し、右クリックメニューから、「ソフトウェアのインストール」を選択します。今回の例では、1台のNetVaultサーバ自身に導入していますが、クライアント登録していれば、そのマシンを選択することになります。
ファイル選択のためのダイアログが表示されるので、MS SQL APMのパッケージファイルを指定します。すべてのパッケージファイルは、".npk"になっていますし、またWindowsの場合にはNetVaultのアイコンになっているため、識別しやすくなっています。
方法 B: NetVault Configuratorから行う方法
前述のクライアント管理を使用した場合には、NetVaultサーバからの導入になりますが、NetVaultクライアントのローカルから導入したい場合もあるでしょう。その場合には、ローカルのNetVaultクライアントの設定を集中的に行うことができる、NetVault Configuratorを使用するとよいでしょう。
NetVault Configuratorを起動し、「パッケージ」タブを選択すると、ソフトウェアのインストールというボタンがあるので、それをクリックします。
NetVaultプラグイン・インストレーションプログラムが起動し、ウィザードに従うことでオプションがインストールできます。
最初にインストールしたいプラグインのファイル名を入力するか、参照ボタンを押すとクライアント管理の時と同様のファイル選択のダイアログが表示されるため、選択します。
次へ進むと、これからインストールするプラグインの名称が表示されるので、確認しておきます。ここでは、正しくMS SQL APMであることがわかりました。
方法 C: いきなりMS SQL APMのパッケージファイルをダブルクリックしてインストール
導入したいマシンと同じところに、必要なパッケージファイルが置かれている場合には、そのファイルをダブルクリックすることで、NetVault Configuratorと同じようにウィザードを使用したインストールができるようになっています。
もちろん、この時にファイル名はわかっていますので、次へを押すことですべて完了します。
以上、3種類の方法をご紹介しました。どの方法を使用しても正しくインストールすることは可能ですが、今ある構成に対して適切と思われる方法を選択するとよいでしょう。
>> 念のためSQL Serverのデータが参照できるか確認してみよう |
|
SQL Serverのインストールで「既定のインスタンス」を作成してあって、既にSQL Serverが稼動しているのであれば、MS SQL APMのインストール後すぐに、バックアップジョブの作成画面で、MS SQLのアイコンをドリルダウンしていくことで、対象となるデータベースの確認ができます。
今回は、きちんとデータベースが見えることを確認したのみで、詳細については今後の講座で解説することにします。
>> SQL Serverはどうしてオンラインでバックアップ可能なのか? |
|
GUIで対象を選択すれば、簡単にバックアップができてしまうのですが、その前に、「データベースが稼動しているのに、どうしてオンラインバックアップができるのか?」 ということを理解しておくと、バックアップの選択の際やリカバリの時にも大きなヒントになります。
標準でインストール時に用意されるNorthwindというサンプルデータベースを例に取って考えて見ます。データベースの中には無数のテーブルが格納されており、最終的にはデータファイルと呼ばれる拡張子が".mdf"のファイルに、トランザクションログファイルと呼ばれる拡張子が".ldf"のファイルに保存されることになります。
もっと細かく見ていくと、データファイルとトランザクションログの使われ方は以下のようになります。
まず、データの更新を行う際には、【1】データファイルからメモリ上のデータベースバッファキャッシュにデータを取り出し、【2】メモリ上で更新した後に、【3】同じくメモリ上のログキャッシュに更新履歴を記録します。
この状態でもし障害が発生すると、メモリ上にしかデータが無い為に更新内容はデータファイルに反映されていないことになります。それを防ぐため、メモリ上のログキャッシュに更新履歴を記録すると、【4】同じ内容をハードディスク上のトランザクションログに即時反映を行います。ディスク上に更新履歴があることで、コミットされたトランザクションの整合性が保証されます。【5】最終的には、チェックポイントのタイミングで、データファイルへと更新結果を反映することになります。
この辺りは、SQL Server自体の仕組みに関する事項であるため、詳細についてはSQL Server関連のドキュメントを見てください。ここで重要なのは、データファイルへの反映に時間がかかっても構わないということです。
オンライン・バックアップでは、データファイルのバックアップ中の結果の反映を停止することで、整合性がとれたデータファイルのバックアップを可能にしています。データファイル・バックアップ後は、トランザクションログのバックアップを行うことで、データファイル・バックアップ中に実行されたトランザクションまでも、最新の状態まで取得することができるのです。
>> 次回は・・・ |
|
次回はいよいよ実際のバックアップを行ってみます。いくつかオプションがありますので、SQL Server標準のEnterprise Managerによるバックアップと比較しながら解説していきます。お楽しみに。