>> はじめに |
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前回までに、様々なSQL Server 2000のバックアップ・オプションについて説明してきました。今回は、まだ説明を行っていないファイルとファイルグループのバックアップについて見ていきます。まずは、簡単にSQL Server 2000自体のファイルとファイルグループの基本的な概念をご説明し、それから、NetVaultのMS SQL APMによるバックアップの方法をご説明します。
>> ファイルとファイルグループとは? |
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ファイルとファイルグループのバックアップについて考える前に、SQL Server 2000のファイルとファイルグループの基本的な概念についてご説明します。
SQL Server 2000では、主に下記3種類のファイルにデータが格納されるようになっています。
- プライマリデータファイル (拡張子は.mdf)
- セカンダリデータファイル (拡張子は.ndf)
- ログファイル (拡張子は.ldf)
このうち、プライマリデータファイルとログファイルは、標準インストール状態でも自動的に作成され、使用されています。では、セカンダリデータファイルの役割とはなんでしょう?
大規模なデータベースで、その情報量が大きくなった場合、単一のファイルにデータを格納していたのでは、その配置方法に制約が発生したり、ディスクのI/Oそのものがパフォーマンスに影響を及ぼしたりすることがあります。そのため、セカンダリデータファイルとして異なるディスク上にデータを配置することで、問題を回避できるようになっています。
また、セカンダリデータファイルは、その規模に応じて複数配置することができ、それらをまとめて管理するための概念として、ファイルグループというものがあります。プライマリデータファイルは、プライマリのファイルグループに格納されますが、セカンダリデータファイルは、異なるファイルグループを作成して管理することが一般的です。この機能は、高可用性が必要とされる大容量データベースのバックアップにも活用することができます。
例えば、とあるサイトでデータベース全体のバックアップを行うのに、8時間かかるとします。しかし、バックアップに使用できる時間が5時間しか取れないという場合に、ファイルグループを2つに分け、4時間だけのバックアップを実行し、別の機会に残り半分を4時間かけて取得することができるのです。
ただし、この半分だけをバックアップするという仕組みでは、データベース全体の整合性が保たれません。そのため、必ずトランザクションログのバックアップも行い、ファイルグループによるバックアップの後、復元に使用する必要があります。
これらは、すべてSQL Server 2000自体のバックアップに関する基本的な機能ですが、NetVaultを使用する場合にも、同じような手法を使用することができます。
>> MS SQL APMを使用したファイルとファイルグループによるバックアップの例 |
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まず、実際の機能を確認するために新たにテスト用のデータベースを作成してみました。ここでは、testというデータベース名で以下のような設定にしています。
データファイル | ||
ファイル名 | 場所 | ファイルグループ |
test_Data | test_Data.MDF | PRIMARY |
test_Data2 | test_Data2_Data.NDF | SECONDARY |
test_Data3 | test_Data3_Data.NDF | SECONDARY |
セカンダリデータファイルを追加する前に、あらかじめSECONDARYのファイルグループを作成しておきます。
この状態で、testデータベースのみを指定し、まったく同じ条件でバックアップオプションのみを変えて、フルバックアップの時と比較してみます。
最初は、バックアップオプションのBackup TypeをDatabase - completeに設定してバックアップを実行します。
次に、バックアップオプションのBackup TypeをFile and filegroupに変更して、同じようにジョブを作成します。
この2つのバックアップの結果を、リストア画面で確認することで、項目に大きな差が出てくることが分かります。
まず通常のフルバックアップの場合には、TABLESという形で表示され、データベース内にあるテーブル等の単位による表示になります。(今回は、データベースのみの作成を行い、テーブルは作成していないので表示されていませんが、通常は表示されます。)
これに対して、ファイルとファイルグループ単位の場合、リストア画面にはデータファイルそのものが表示されます。バックアップのみならず、リストアの際にもファイル単位で実行することができるのです。
以上、簡単に2つのバックアップの違いについて解説してきました。ファイルとファイルグループ単位の場合、大規模環境で便利なのですが、データベースと切り離して考慮しなければならない場合もあり、その仕組みをきちんと理解しておくことが必要です。一方、通常のフルバックアップは、非常に手軽にご使用いただけます。
>> 次回は・・・ |
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次回は、リストアと運用方法の関係について考えていきます。お楽しみに!