>> はじめに |
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前回まで、9回に渡ってNetVaultが持つ豊富なOracleのバックアップ手法について、実践的な導入方法を確認してきました。スタンドアロン環境のOracleバックアップに関しては、一通り網羅して来たつもりです。最終回である今回は、スタンドアロン環境以外のOracleバックアップについて、概要レベルですが紹介していこうと思います。
>> Real Application Clusters(RAC)環境のバックアップを考える |
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Oracle Database 10gになって、RACを構築するためのコストがとても安くなりました。その効果もあって、最近はRACのバックアップに関するお問い合せが増えています。
バックボーン・ソフトウエアでは、2003年4月のOracle 9i RACへの対応を皮切りに、RACへの対応を強化しています。単に対応しているというアナウンスを行うだけではなく、下記のように積極的に技術情報を公開することによって、お客様に安心してNetVaultと対応するOracleオプションを活用していただけるようになっています。
- Linux Oracle 9i Real Application Clusters動作検証 (PDF)
- NetVault 7によるIBM eServer xSeries / IBM FAStT700 / Oracle9i RAC / Oracle EBS 11i環境におけるLinuxバックアップ検証 (PDF)
※日本オラクル様、日本アイ・ビー・エム様、バックボーンの三社共同検証です。 - Oracle Database 10g Real Application Clusters動作検証 (PDF)
また、RAC環境のバックアップに関する条件を示すために、以下のFAQにてOracleの環境について確認できるようにしています。
FAQ番号: NVP00017
NetVaultで、Oracle Real Application Clusters (RAC) のバックアップは可能ですか?
この中でも、特にご質問が多いOracle Database 10g Standard Edition RAC (通称SE RAC) について考えてみましょう。
RAC環境のバックアップにおいて、もっとも重要な考慮事項は、アーカイブログがどのようにノードに配置されるかということです。
クラスタリング・ファイルシステムを使用しない環境では、ノード間で共有されるファイルと、共有されないファイルが存在するようになります。この場合、一つのノードから共有されないファイルも含めてのバックアップができません。NetVaultに限った話ではありませんが、複数のサーバに分割されたデータを、分割されたバックアップジョブとして管理することは、後の復旧時に状況の把握が難しくなります。できるだけ集約して管理したいものです。
このような構成は、Oracle 9i RACやOracle 10g RAC(ASM未使用)で一般的な構成ですので、工夫をして対応することになります。その一つの方法は、他ノードのアーカイブログも単一ノードから参照できるようにNFSマウントするというものです。
それに対して、SE RACでは、Oracle Database 10gより実装されたASM(Automatic Storage Management)の使用が義務付けられており、アーカイブログも共有ディスク上のASMボリュームへ格納されます。そのため下図にあるような、クラスタファイルシステムの構成と同様の対応ができるようになります。
詳細な使用方法等は、すべて前述の検証レポートに掲載されていますので、もしSE RACを検討している場合には、是非NetVaultによるバックアップを事前検証等行ってみるとよいでしょう。
現在は、Linux版のみ検証レポートが公開されていますが、近い将来にWindows版のOracle Database 10g SE RACについても検証後、レポートが公開される予定です。
>> クラスタウェアの対応 |
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RAC以外のクラスタリング対応としては、以下のように主要なクラスタリング環境におけるOracleのバックアップ検証ドキュメントが存在します。これらのケースでは、共有ディスク上にNetVaultをインストールし、そのサービスの起動をクラスタウェア側の機能により、Oracleの動きに合わせて切り替えるという方法をとっています。
- CLUSTERPRO Linuxクラスタリング環境 NetVault Oracleバックアップ動作検証 (PDF)
- CLUSTERPRO Windowsクラスタリング環境 NetVault Oracleバックアップ動作検証 (PDF)
- NetVault PRIMECLUSTER動作検証 (PDF)
※Linux環境におけるOracleのクラスタバックアップ検証を実施 - NetVaultによるLifeKeeperクラスタリングのバックアップ検証
※Oracle ARK使用により、Oracle対応可能
>> Oracle Fail Safe |
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Oracle Fail Safe(通称OFS)は、WindowsのEnterprise Editionに搭載されているMSCSを活用し、Oracleのシングルインスタンスデータベースに対し、サービスのフェイルオーバによる可用性を高める環境を構築するためのソフトウエアです。RACがまだ一般的でなく、比較的高価であった9i RAC時代には、比較的Windows用のOracleクラスタリングとして使用されていましたが、最近はRACの価格が下がったこともあり、使用頻度としては減っているようです。Oracle Fail Safe自体は、Oracleのライセンスに含まれているため、対応ノード数分のOracleライセンスがあれば良いということになります。
前述のクラスタウェアを使用した環境同様に、NetVaultを共有ディスクへ導入し、そのサービスを切り替えるという手法により、正式な検証レポートはありませんが、導入されているケースがあります。
>> ストレージのスナップショットを使用したOracleのバックアップ |
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データベースが24時間365日の稼動を求められ、その中でデータ量が増えていくという状況は、業種や業態を超えて広がりつつあります。通常のバックアップ方法を使用した場合、Oracle Online APMはもちろんのこと、Oracle RMAN APMを使用した差分バックアップですら、データベース側に大きな負荷になってしまう事態が発生しています。そのため、最近は比較的上位のクラスのストレージが持つ、スナップショットやストレージのミラー機能を使用し、そのボリュームをバックアップサーバ側でマウントして、データベースサーバに負荷をかけずにバックアップするソリューションが普及しつつあります。
ストレージベンダーによって、スナップショットの制御方法は異なってきます。手前味噌ですが、以下のサイトでは、LinuxのLVMを使用した場合の実例を挙げて解説してありますので参考にしてみてください。
http://www.thinkit.co.jp/free/compare/5/9/1.html
※実例が掲載されている、2ページ目および3ページ目を閲覧するには、ThinkITへの登録が必要です。
>> NAS上にOracleを構築する |
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スナップショットの機能は、FC接続のストレージのみならず、NASのようなファイルサーバでも使用できる機種が増えています。代表例としては、特にNetApp社では、テクニカル・ドキュメントを公開して、サポートを推進しています。
http://www-jp.netapp.com/tech_library/
TR-3339: Oracle10g Real ApplicationClusters Release 1 :Red Hat Enterprise Linux 3.0 環境でのファイラーを統合したインストール
NetVaultでは、特にNDMP関連のソリューションが豊富であり、こうしたNAS上に構築したOracleのバックアップをバックアップモードにした状態で、NDMPによるバックアップの実行が可能です。以下は、以前に富士通様と共同で確認したソリューションパターンです。
>> 最後に・・・ |
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以上、駆け足でOracle関連のバックアップソリューションについて確認しました。それぞれの内容について、深くは取り上げていませんが、これをきっかけとして、より難しい構成のバックアップに関して、ヒントにしていただければと思います。やはり、それぞれの環境によって検討すべき内容は異なってきますし、検証ドキュメントが無いソリューション等もあります。ご不明な点は随時弊社の営業担当まで、お問い合わせください。