NetVault 13.1よりNetVaultクライアントはPure64版のみの提供となります。NetVault Backup 12.xまたは13.0.xのHybrid版クライアントをNetVault 13.1へアップグレードを行う場合はPure64版への移行が必要になります。
1.NetVaultクライアントのPure64版への移行方法
NetVaultクライアントのHybrid版からPure64版へ移行するには、既存のHybrid版のNetVaultクライアントをアンインストールして、Pure64版のNetVaultクライアント、Plug-inをインストールします。基本的にPure64版クライアント、Plug-inをインストール後に必要に応じてクライアントの設定およびPlug-inの設定を再度行っていただく必要があります。
アンインストールを行うとクライアントの設定情報、導入していたPlug-inおよびその情報もアンインストールされます。また、NetVaultクライアントのインストールディレクトリ配下にスクリプト等を作成し置いている場合、それも削除されます。アンインストール前の事前準備として次の作業が必要です。
1.1.アンインストール前の準備
- WebUIの「設定変更」でNetVaultクライアントの設定をデフォルト値以外の設定に変更している場合は、その内容を控えてください。
- スクリプト等を作成してインストールディレクトリに置いている場合、それらをインストールディレクトリ以外の場所に退避してください。
- Hybrid版のライアントの設定情報およびPlug-inの設定情報の退避してください。
NetVaultクライアントの設定情報および各Plug-inの設定情報は、NetVaultインストールディレクトリ配下の以下のディレクトリに保存されています。NetVaultクライアントの以下のディレクトリをNetVaultのインストールパス以外の場所に退避してください。
<クライアントの設定情報および各Plug-inの設定情報が保存されているディレクトリ>
・Windowsの場合
<NetVaultインストールディレクトリ>\config
・Linuxの場合
<NetVaultインストールディレクトリ>/config
アンインストール前の準備が終了したら、次の手順でPure64へ移行を行います。
1.2.Pure64への移行手順
(1)Hybrid版NetVaultクライアントをアンインストール
(2)Pure64版NetVaultクライアントをインストール
(3)Plug-inを導入していた場合、Pure64版のPlug-inをインストール
(4)クライアント設定をデフォルト値以外で設定していた場合、WebUIの「設定変更」で再設定
*Hybrid版で設定されていた既存の値を引き継ぐこともできます。その方法については「2.Pure64版への移行に伴うクライアントの設定情報の引き継ぎ方法」を参照してください。
(5)Plug-inの設定を「セットの管理」、「ジョブ定義管理」などで再設定
*Hybrid版で設定されていたPlug-inの既存の値を引き継ぐこともできます。その方法については「3.NetVaultクライアントに導入しているプラグインの設定情報の引き継ぎ方法」を参照してください。
1.3.Windows環境のNetVaultクライアントのデフォルトのインストールディレクトリにつて
Windows環境でHybrid版NetVaultクライアントからPure64版に移行すると、デフォルトのインストールディレクトリが変更されます。スクリプト等にNetVaultクライアントのデフォルトのインストールディレクトリを指定している場合は、Pure64版のインストールディレクトリに変更する必要があります。
Hybrid版(NetVault 12.4以前): C:\Program Files (x86)\Quest\NetVault Backup
Pure64版(NetVault 12.4以前): C:\Program Files\Quest\NetVault Backup
Hybrid版(NetVault 13.0.x): C:\Program Files (x86)\Quest\NetVault
Pure64版(NetVault 13.0以降): C:\Program Files\Quest\NetVault
2.Pure64版への移行に伴うクライアントの設定情報の引き継ぎ方法
ここでのクライアントの設定情報は、WebUIの「設定変更」で設定される情報です。クライアントの設定は次の方法によりHybrid版で設定されていた既存の値を引き継ぐこともできます。
2.1.退避しておいた設定情報ファイルをコピー
Pure64版のクライアントをインストール後、事前に退避しておいたクライアントの該当するファイルを元のディレクトリにコピーしてください。
<各設定項目のファイル名>
設定項目 |
ファイル名 |
RASデバイス |
rasdevices.cfg |
ネットワークマネージャー |
nvnmgr.cfg |
プロセスマネージャー |
procmgr.cfg |
セキュリティ |
security.cfg, servers.cfg |
ファイアウォール |
firewall.cfg |
一般設定 |
configure.cfg ※1 |
時刻同期 |
timeserver.cfg |
スクリプト |
script.cfg |
プラグインオプション |
clioptions.cfg, consolidate.cfg, datacopy.cfg, diskdevices.cfg, duplicate.cfg, nvfs.cfg |
ベリファイ |
verify.cfg |
暗号化 |
encryption.cfg ※2 |
レポート |
reports.cfg |
通知 |
snmp.cfg, mail.cfg |
※1 Windows環境で「一般設定」の configure.cfgファイルを戻す場合、Hybrid版NetVaultクライアントのインストールディレクトリ・パスが含まれている項目があります。このパスをPure64版のインストールディレクトリ・パスに変更する必要があります。
※2 暗号化については、「NetVaultクライアントに導入しているプラグインの設定情報の引き継ぎ方法」の※4を参照してください。
3.NetVaultクライアントに導入しているプラグインの設定情報の引き継ぎ方法
NetVaultクライアントのPure64版のインストール完了後、Pure64版のプラグインをインストールし、基本的にはそれぞれのプラグインの設定を再度行っていただく必要があります。プラグインの設定は、以下の手順によりHybrid版で設定されていた既存の値を引き継ぐこともできます。
3.1.退避しておいた設定情報ファイルをコピー
Pure64版のプラグインをインストール後、事前に退避しておいた各プラグインに該当するファイルを元のディレクトリにコピーしてください。
<各プラグインの設定情報のファイル名>
プラグイン名 |
ファイル名 |
Filesystem Plug-in |
nvfs.cfg |
Oracle Plug-in |
nvoracleapm.cfg, hookplugs.cfg |
SQL Server Plug-in |
nvsqlserver.cfg |
NDMP Plug-in |
ndmp.cfg, nvndmp.cfg |
SnapMirror to Tape Plug-in |
ndmpsmt.cfg, nvndmpsmt.cfg |
VMware Plug-in |
vmware.cfg ※3 |
Hyper-V Plug-in |
hyperv.cfg |
PostgreSQL Plug-in |
nvpostgresql.cfg |
Encryption Plug-in |
encryption.cfg ※4 |
※3 Windows環境でVMware Plug-inのcfgファイルを戻す場合、vmware.cfgファイルに作業用ディレクトリのパスが記載されています。Pure64版のインストール後もその作業用ディレクトリを使用するため、作業用ディレクトリを作成してください。
(例)
vmware.cfg
[VMware:Working Directory] : Value=C:\Program Files (x86)\Quest\NetVault Backup\tmp |
Pure64版のVMware Plug-in は、”Value=”に記載されている作業ディレクトリを使用します。
記載されているディレクトリを作成してください。
※4 NetVault 13.0以前のEncryption(暗号化)Plug-inを導入して暗号化アルゴリズム “AES256” を使用されている場合、次の注意事項があります。
NetVault 13.0.1以降暗号化アルゴリズム ”AES256” がOpenSSL 2.0 FIPSモジュールを利用した方式になっております。NetVault 13.0以前のバージョンにて暗号化アルゴリズム ”AES-256” を利用してバックアップを採取していた環境においては、バージョンを13.0.1以降に更新すると自動でOpenSSL 2.0 FIPSモジュールを利用した本暗号化アルゴリズムに変更されます。
NetVault 13.0.1以降の環境に更新後も、13.0以前のバージョンで実装されているFIPSモジュールを利用しない暗号化アルゴリズム "AES-256" を使用する場合、次の方法で使用することができます。
1) 退避しておいた場所からコピーした暗号化Plug-inファイル、encryption.cfgを開く
2) 以下エントリーを追加し保存
追加前:
[Client:Crypto Algorithm] : (省略) Range=No module selected,AES256,CAST128,CAST256 |
追加後:
[Client:Crypto Algorithm] : (省略) Range=No module selected,AES256_OLD,AES256,CAST128,CAST256 |
3)NetVaultのサービスを再起動
4)WebUIから「設定変更」→「マシンを選択する」→ 「クライアントを選択」→「設定に移動する」→「暗号化」→「利用可能な暗号化アルゴリズム」→ 「AES256_OLD」→「実行」 の順に選択します。
以上で従来の暗号化アルゴリズム "AES-256" を使用するようになります。
4.NetVaultスマートクライアントに設定したNetVault VTLの移行方法
Hibrid版NetVaultクライアントにNetVault VTLを定義し、スマートクライアントとして使用している環境をPure64版へ移行する際、既存のHybrid版のNetVaultクライアントをアンインストールして、Pure64版のNetVaultクライアントをインストールする必要があります。アンインストールに伴いNetVault VTLに設定情報も削除されますので、Pure64版クライアントのインストールが完了したら、次の手順でNetVault VTLを再度設定する必要があります。
注意:NetVault VTLの移行は同一バージョン間でサポートされます。NetVaultのUpgradeが必要な場合は、同一バージョンでPure64に移行後にUpgradeを実施してください。
1)NetVaultサービスの停止
2)NetVaultインストールディレクトリ以下の config/diskdevices.cfg ファイルを開きます。
3)[libraries],[drives]に仮想テープ・ライブラリを追加し保存。
退避しておいたdiskdevices.cfgの[libraries],[drives]の情報をコピーしてください。
追加前
[libraries] [drives] |
追加後(例)
[libraries] [drives] |
4)NetVaultサービスを起動
5.Pure64版へ移行後の作業
Pure64版NetVaultクライアントをインストールする際、Hybrid版NetVaultクライアントをインストールした時と同じパスワードをクライアントに設定した場合、事前に退避していたservers.cfgを<NetVaultインストールディレクトリ>/configにコピーします。
Pure64版クライアントのインストール時に指定したパスワードがHybrid版で指定していたパスワードと異なる場合は、WebUIで次の作業を行ってください。
1)WebUIの「クライアント管理」で移行したクライアントを選択し、「管理」を選択します。
2)「アクセス確認」を選択します
3)パスワードの入力が要求されますので、Pure64版インストール時に指定したパスワードを入力します。
NetVaultサーバーはクライアントへの接続を試み、クライアントの現在のアクセス可能性ステータスを示すメッセージを返します。[閉じる]ボタンをクリックしてダイアログ・ボックスを閉じます。
以上
作成:2022年10月
更新:2023年6月(4.に「注意」を追加)