QuestのBMR製品 (VaultDR) は、基本的にCD-ROMドライブ/USBソケットを内蔵しているマシンを対象としたシステム・バックアップ/リカバリ製品です。通常、BMR製品のシステム・リカバリOSであるVaultOSをCD-ROMドライブ/USBソケットからブートして利用しますが、このどちらもない場合、VaultOSをPXEからブートすることも可能です。本Tips!では、VaultOSをPXEからブートするための設定方法をご紹介します。
【ご注意】 本Tips!は、PXELINUXを使用したPXEが存在していて、WinPEまたはCentOS Linuxの知識があることを前提として記載しています。本Tips!では、PXEをWindows上に構築しています。
1. VaultOS 6.0 (Windows PE 3.xベース) の場合
Windows PEは、RAMディスク上で起動するため、ISOイメージをそのままPXEにて使用可能です。VaultOS 6.0を作成後、ISOイメージを、PXEサーバの任意の場所に置いた後、pxelinux.cfg/defaultに、以下のようにに記述します。 LABEL <任意のメニュー・アイテム名>LINUX \memdiskINITRD \<PXEルートからのパス>\<VaultOS 6.0 ISOイメージ>APPEND raw iso --- 例 --- LABEL VaultOS 6.0 - WinPE 3.1 LINUX \memdisk INITRD \vos60\vos60_pe31.iso APPEND raw iso これでPXEのメニューに<任意のメニュー・アイテム名>が追加されました。これを選択することで、VaultOS 6.0の起動ができます。
Windows PEは、RAMディスク上で起動するため、ISOイメージをそのままPXEにて使用可能です。VaultOS 6.0を作成後、ISOイメージを、PXEサーバの任意の場所に置いた後、pxelinux.cfg/defaultに、以下のようにに記述します。
LABEL <任意のメニュー・アイテム名>LINUX \memdiskINITRD \<PXEルートからのパス>\<VaultOS 6.0 ISOイメージ>APPEND raw iso
--- 例 ---
LABEL VaultOS 6.0 - WinPE 3.1 LINUX \memdisk INITRD \vos60\vos60_pe31.iso APPEND raw iso
これでPXEのメニューに<任意のメニュー・アイテム名>が追加されました。これを選択することで、VaultOS 6.0の起動ができます。
2. VaultOS 5.7.1 (CentOS Linux 6.2ベース) の場合
VaultOS 5.7.1の場合は、残念ながらVaultOSのようにRAMディスクだけでは起動できません。VaultOSから随時ISOイメージ内のファイルにアクセスできるようにしておく必要があります。本Tips!では、PXEサーバをNFSサーバ化し、ISOイメージ内のファイルをNFSシェアするようにしています。 2-1. VaultOS 5.7.1のISOイメージからファイルを取り出し、NFS共有にする。 CDとして一度焼いた後、もしくは仮想CD-ROMドライブ・ソフトウェア等を使用して、VaultOS 5.7.1のファイルをそっくりそのまま、PXEサーバの任意のディレクトリにコピーしてください。コピーした先のディレクトリ内は、以下のファイル・ディレクトリが存在します。 このPXEサーバの任意のディレクトリをNFSシェアとし、rootユーザがマウントし、読み込めるようにしておく必要があります。 2-2. pxelinux.cfg/defaultの編集 pxelinux.cfg/defaultを編集し、VaultOS 5.7.1をメニューに追加します。 LABEL <任意のメニュー・アイテム名>KERNEL \<PXEルートからのパス>\isolinux\vmlinuzAPPEND load initrd=<PXEルートからのパス>\isolinux\initrd.img rescue devfs=nomount ksdevice=eth0 ks=nfs:<NFSサーバIP>:<NFSルートからのパス>/ks.cfg --- 例 --- LABEL VaultOS 5.7.1 KERNEL vos571\isolinux\vmlinuz APPEND load initrd=vos571\isolinux\initrd.img rescue devfs=nomount ksdevice=eth0 ks=nfs:192.168.1.5:/tftpd/vos571/ks.cfg 2-3. kickstart設定ファイル(ks.cfg)の編集 2-2から分かるように、VaultOS 5.7.1はkickstart設定ファイル(ks.cfg)を参照し、VaultOSを起動します。デフォルトのks.cfgは、CD-ROMからの起動するように設定されてるので、NFSシェアから起動するよう変更します。 --- デフォルトks.cfg --- lang en_US keyboard us timezone --utc America/Los_Angeles install cdrom <---- この行を変更します。 --- 変更後ks.cfg --- lang en_US keyboard us timezone --utc America/Los_Angeles install nfs --server=<nfsサーバip> --dir=[NFSルートからのパス] --- 例 --- lang en_US keyboard us timezone --utc America/Los_Angeles install nfs --server=192.168.1.5 --dir=/tftpd/vos571 これでVaultOS 5.7.1がPXEから起動できるようになります。kickstartにて起動するため、通常のNetwork設定画面等を使用しなくなります。そのため、kickstartにて設定するか、VaultOS画面からCTRL + cにてブレイク後、IPアドレスを設定し、再度drdaemonを起動するなどの方法にて、IPアドレスを設定してください。尚、DHCPによる設定をそのまま使い続けるのであれば、IPアドレスの設定は必要ありません。
VaultOS 5.7.1の場合は、残念ながらVaultOSのようにRAMディスクだけでは起動できません。VaultOSから随時ISOイメージ内のファイルにアクセスできるようにしておく必要があります。本Tips!では、PXEサーバをNFSサーバ化し、ISOイメージ内のファイルをNFSシェアするようにしています。
2-1. VaultOS 5.7.1のISOイメージからファイルを取り出し、NFS共有にする。
CDとして一度焼いた後、もしくは仮想CD-ROMドライブ・ソフトウェア等を使用して、VaultOS 5.7.1のファイルをそっくりそのまま、PXEサーバの任意のディレクトリにコピーしてください。コピーした先のディレクトリ内は、以下のファイル・ディレクトリが存在します。
このPXEサーバの任意のディレクトリをNFSシェアとし、rootユーザがマウントし、読み込めるようにしておく必要があります。
2-2. pxelinux.cfg/defaultの編集
pxelinux.cfg/defaultを編集し、VaultOS 5.7.1をメニューに追加します。
LABEL <任意のメニュー・アイテム名>KERNEL \<PXEルートからのパス>\isolinux\vmlinuzAPPEND load initrd=<PXEルートからのパス>\isolinux\initrd.img rescue devfs=nomount ksdevice=eth0 ks=nfs:<NFSサーバIP>:<NFSルートからのパス>/ks.cfg
LABEL VaultOS 5.7.1 KERNEL vos571\isolinux\vmlinuz APPEND load initrd=vos571\isolinux\initrd.img rescue devfs=nomount ksdevice=eth0 ks=nfs:192.168.1.5:/tftpd/vos571/ks.cfg
2-3. kickstart設定ファイル(ks.cfg)の編集
2-2から分かるように、VaultOS 5.7.1はkickstart設定ファイル(ks.cfg)を参照し、VaultOSを起動します。デフォルトのks.cfgは、CD-ROMからの起動するように設定されてるので、NFSシェアから起動するよう変更します。
--- デフォルトks.cfg ---
lang en_US keyboard us timezone --utc America/Los_Angeles install cdrom <---- この行を変更します。
--- 変更後ks.cfg ---
lang en_US keyboard us timezone --utc America/Los_Angeles install nfs --server=<nfsサーバip> --dir=[NFSルートからのパス]
lang en_US keyboard us timezone --utc America/Los_Angeles install nfs --server=192.168.1.5 --dir=/tftpd/vos571
これでVaultOS 5.7.1がPXEから起動できるようになります。kickstartにて起動するため、通常のNetwork設定画面等を使用しなくなります。そのため、kickstartにて設定するか、VaultOS画面からCTRL + cにてブレイク後、IPアドレスを設定し、再度drdaemonを起動するなどの方法にて、IPアドレスを設定してください。尚、DHCPによる設定をそのまま使い続けるのであれば、IPアドレスの設定は必要ありません。
以上、VaultOSをPXEで起動させる方法をご紹介しました。尚、本Tips!はあくまで1例であり、ご利用の環境に合わせて該当ファイル等を設定してください。
【ご参考URL】 The SysLinux Project http://www.syslinux.org/wiki/index.php/The_Syslinux_Projecthttp://www.syslinux.org/wiki/index.php/PXELINUX
< バックナンバー・トップへ戻る